前回の記事で書いてました。
國広正雄氏の名著、『英会話・ぜったい・音読』をご紹介します。
著者が日本人の拙い英語習得方法を憂いて、ご自身の経験を元にこの方法を作り出したことが書かれています。
著者の國広正雄氏は、同時通訳、テレビキャスター、大学教授、政治家など、多方面で活躍されていましたが、残念ながら、2014年にお亡くなりになられています。
著者の思い、それは『只管朗読』(しかんろうどく)という言葉に凝縮されています。
著者の作りあげた言葉、「只管朗読」(しかんろうどく)とは、英文をただひたすら朗読すること(音読すること)で、禅の言葉「只管打座(しかんたざ)」(ただひたすら座る)から、インスピレーションを受けて作られた言葉です。つまり、修行に近いということ。
著者が中学の頃、ちょうど終戦でテレビやラジオもない貧しい時代、教材は中学英語の教科書、リーダーのみ。恩師である中学の英語の先生より、唯一無二の勉強法として、リーダーを声を出して、繰り返し繰り返し読むことを進められ、素直に実行した結果、当時の進駐軍の兵士と英語でコミュニケーションを取ることが出来たこと。いつのまにか、著者の頭の中には英語の回路が備わっていた。
これらの成功体験から著者は音読トレーニングを編み出したのです。
Contents
音読トレーニングの目的は、頭の中に英語の回路を作る事!
まえがきにあるように、音読トレーニングは英文の暗記が目的ではありません、音読することによって英語の回路を頭の中に作り上げ、知的記憶を動作記憶として使えるようにすることが目的です。
知的記憶とは、見たり読んだりといった受身的な行為で覚える事だそうです。
それに対して動作記憶は、肉体の感覚器官をフルに使って覚える事、以下は分かりやすく説明をされているので引用します。
野球でも、水泳でも、車の運転でも何でもそうですが、どんなに本で勉強しても、どんなに事前に説明を受けていても、いざ実際にやってみるとなかなかうまく出来ないものです。ところがいったん身体で覚えてしまえば、その知識は定着します。何年ぶりかに自転車に乗っても、そんなに不自由なく乗りこなせるのは、それが動作記憶になっているからです。
引用 :『英会話・ぜったい・音読 続・標準編』 國広正雄、千田潤一 監修, 講談社, 2019年, p.21
英文を読んで理解しただけでは、知的記憶にとどまるため、その英語は使えない状態にあるそうです。
それが声を出して読み上げたり、手を使い筆写することで(身体を使うことで)、その英語は動作記憶に変わり、使える英語になる。
つまり音読トレーニングは、読んで理解できる英語を使える英語にすることです。
英語の回路がなければ、単語や構文など受験や資格試験で覚えたものが、実際の場面では使えない、そして試験が終われば記憶から消えていくことでしょう。
ここでは、割愛しますが、音読トレーニングの根拠が著者の経験と近年の研究で科学的に証明されていることが本文には書かれています。
教材のレベルについて
「英文は読めるけど、それを使って英会話できない」というレベルの教材で練習するのが最適といわれています。
本書は、中学3年生用の文部省認定済み英語教科書から成人の英語トレーニングに適した厳選の12レッスンが収録されているとの事。
ボクの場合は、TOEICの勉強で中学英語の文法を総復習する際に、「中3くらいの英文が、読むことはできるけど、それをリアルに会話に使うのはムズカシイ」と実感したので、トレーニングには、この教材が、ちょうどいいレベルなのかと思っています。
トレーニングの内容
トレーニングに関しては、音読を中心に筆写も加えたものが、プログラムとして記載されています。
初版が刊行されてから年月を経ており、この音読トレーニングの方法も英語学習研究者の方がカスタマイズされたものがWEB上にもあり、自分で読んでみて納得できたやり方を選ぶ事ができます。
実際に数年前に取り組んだ時に考えたこと、今、再びこの本の事を書くにあたって思うところを3個挙げたいと思います。
- トレーニング中は目的を明確に意識することが大切です。それは「英語の回路を作ること」回数をこなすだけになると継続は難しいものとなる。
- このトレーニングはスポーツに近いことを意識する。テスト勉強の暗記ではなく、球技系のスポーツにおける素振りに近いこと。
- 継続が力なり。このトレーニングは、経験してみると分かると思いますが、続ける事こそが最も大事な事で、著者も書いておられますが、終わりはありません。
③について補足すると、継続するための工夫が記載されています。なんとか継続してほしいという、著者の思いが伝わってきます。
- 巻末にある「トレーニング記録帳」やトレーニングの心構えなどは、必ず記入し、何度も見直しましょう。
- 筆写用のノートを作り、「絶対」捨てたりしないで、通し番号を振って、目に見えるところに置いておきましょう。
- 定期的にへTOEICを受験しましょう。これは、トレーニングの効果を実感するためです。
まとめ
今回は英語学習ツールとして、オススメの英語学習本をご紹介いたしました。
ボクのように、今まで何冊も何冊も手を出しては続かず、英語学習が中途半端になっていた、という方もいらっしゃるのではないでしょうか?
今回ご紹介した本は、実際にボクもトレーニングで使用していました、この機を活かし再度、取り組むつもりです。
何冊も手を出すよりも、この1冊に集中して継続学習していく方が頭の中に英語の回路が作られて、他の英語学習にも効果が表れるれるのではないでしょうか。
今回ご紹介した学習本がご自身の勉強に合いそうであれば、是非チャレンジしてみてください。
出典 :『英会話・ぜったい・音読 続・標準編』 國広正雄、千田潤一 監修, 講談社, 2019年,